「南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる」(著:綿貫淳子)

長雨が続いていますね。
晴れていたら、ついつい手を出してしまう大きな”家仕事”も、気になるけど、ちょっとだけ見ないふり。
コインランドリーでの待ち時間、子どもの送迎待ち、電車を待つ時間、
すき間時間が増えたらラッキーと発想の転換をしながら、”雨季”をうまく乗り切っていきましょう。
梅雨の晴れ間にジョギング途中で見つけた紫陽花












新聞の小さなコラムで見て、ずっと読みたかった本にようやく出会えました。
期待を裏切らない面白さ。

「南極ではたらく:かあちゃん、調理隊員になる」(著)綿貫淳子 

2015年に第57次南極地域観測隊の調理隊員として、1年4か月を昭和基地で生活した日々、
隊員になるまで、帰還後をまとめたエッセイです。

堺雅人さんが演じた「南極料理人」という映画を観たのは、もう10年くらい前のこと。
過酷な環境とはいえ、ストーリーがコメディタッチで、ただただ楽しく、美味しそうな映画だったな
いう思い出があります。

その後、フランス映画「大統領の料理人」でも、ミッテランの専属料理人に大抜擢された女性シェフが、
南極フランス観測基地の料理人の任期を務めあげたシーンがありました。
こちらのストーリーは、どちらかというとシリアスで、女性であること、男性からの嫉妬や軋轢、
大統領との信頼関係、気持ちを熱くする料理の数々に泣かされます。

そして、この綿貫さんの南極料理人体験は、もっともっと近く感じられるのです。

いや、南極で料理人として30人・3食・365日を切り盛りされた経験はすごいスキルだし、
きっと宇宙ステーションに行くくらい、途方もなく別世界のことではあるのだけれど、
出産を機に家事育児に専念した後、息子さんが高校生になったタイミングで応募、
三度目の挑戦で合格、41歳の挑戦だったという背景が私にそう感じさせるのかもしれません。

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「夢は見つけるものではなくて、出会うもののような気がします。だから無理に見つけなくても、
出会えた時に全力でチャレンジできるスキルを少しずつ身につけておきたい。
ごはんを作ったり、洗濯ものをたたんだり、子どもにお小言を言ったりといった日常は、
平凡でなんてことのない毎日かもしれません。   ~中略~
でも、そのなんてことのない日常こそが自分のスキルになっていたと気が付いたのも南極でした」
                                                                                 ([南極ではたらく」P.173-174より )
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エッセイの中には、料理人、そして女性から見た基地での毎日の生活が語られています。

限られた物資、エネルギー、ゴミの排出を最小限にする料理の工夫やレシピ(南極リメイク料理術)が
紹介されていて、日常の生活にも役立ちそうな知恵がいっぱいです。

南極で出たゴミはすべて日本に持ち帰るし、海を汚さないため、
徹底してフードロスをなくし、排水自体も少なくすることが重要課題。
ゴミ処理を担当してくれている人、水や電気を供給してくれる人の顔が見えるから、
大事に使おう、その人が困らないよう注意を払おうと思えるのだそうです。
ひきかえ、日本の暮らしは、顔が見えないことで、ゴミやエネルギー問題に無頓着に
なっているのかもしれないと。

だから、帰国後のこんなくだりも納得してしまいます。
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段ボール6個で1年4か月を過ごしたら物欲自体も薄れてしまったのか、自宅の物の多さに辟易し、
勢いで断捨離を始めた。ありとあらゆる食べ物に囲まれ、その中から選ぶこともなかなかできなかったし、
何よりスーパーの惣菜コーナーに並べられている食品を見た時、時間が経ったらこれらはみんな廃棄される
んだろうなと思っただけで涙が出てきた。(南極で暮らす P.166)
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わたしも、インド旅や山歩き、キャンプに行ったときに「限られたものでやりくりする楽しさ」を
味わってしまったので、次々と新商品が並んだり、ゴミが大量にでるパッケージに包まれた商品が
たくさん並ぶスーパーやコンビニに入ると、いつもちょっとした違和感を感じてしまいます。

読んでいて、あらっ♡と嬉しかったのが、綿貫さん、ヨガをライフワークにされていて、
南極基地でもDVDで毎晩ヨガ、時には、青空ヨガと称して真っ白く凍った雪面で南極大陸を
見ながらのヨガが至福だったと書かれているところ。
でも、ヨガマットは瞬殺で凍りついて使い物にならなかったとか(笑)。

南極大陸見ながらの青空ヨガって、すごい開放感だろうな~。
ヨガはマット1枚分のスペースさえあれば、あとは身ひとつ、いつでも、どこでもできるところが
本当に秀逸。
すき間時間を見つけたら、ヨガで調えて、夏を元気に楽しく迎える準備をしていきましょう。
ご予約お待ちしております。

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