あなたの教室(著:レティシア・コロンバニ)
オフの日の外出といえば、だいたい〈山歩き〉か〈図書館さんぽ〉。
冬の山歩き、〈寒さ〉はなんてことないんだけど、〈風〉は強敵になるので、そんな日は晴れていても迷わず〈図書館〉に向かい、予約本の受け取りとか、借りたい本の目ぼしもなく訪れた日は館内をぐるり巡回します。
いろんなコーナーの書棚を渡り歩きながら、背表紙の〈題名〉や〈著者名〉、上から見える〈蔵書日付印〉を眺めては、興味の赴くままに手に取る本は〈今置かれた自分の心境〉と深く繋がっていることは多々あることだけれど、まったく興味のない分野の本を借りることもあって、それは自分でもはっきりと認識していない〈深層心理的〉な感じがして楽しい。
あまり読書してなさそうな息子に「なんで本読まないの?」と聞いてみたら、
「だって時間ないから」と、まぁ、ここまでは想定内。
でも、次の返事が「映画も車の中で倍速で観てるよ、俺」で卒倒しそうになる。
まずもって、運転中に音楽ならまだしも、映画観たら危険すぎる。
で、倍速って!?と思っていたら、ちょうど高橋源一郎さんのラジオで「映画を早送りで観る人たち」を取り上げてました。
消費時代&世代の現象のひとつなんだそうな、世知辛!
風が穏やかな日はリュックに一冊入れた本を 森の中のベンチに寝転がって読むのも楽しい |
わたしも、読書はただ好きで、読みたいから読んでるだけだし、映画も好きだからゆっくりじっくり観たいだけなんだけど、その理由は?と、もし問われたら、
・自分が知りたかったことを教えてくれたり、より明確にしてくれたり、
・信じたいとおもっていることに〈意味〉をそっと与えてくれたり、
・こんなコトを考えているのは私一人ではないんだなと安心したり、
・見たことのない世界にいざなってくれたりするから
なんだと思う、たぶん。
もうひとつ付け加えるのなら、
映像や音は受け身だけれど、本はじっくり腰を据えて、ページをめくり、読まなければならないという〈能動的〉なところも満足感が得られて好きなのかもしれない。
〈倍速男〉の息子とは正反対(笑)。
20代には20代の、50代には50代の時間の使い方があるものね。
人それぞれ、年代それぞれですね、メンタルヘルスを整える方法も。
今回、巡回していて出会った本は「あなたの教室」。
以前読んだ「三つ編み」を書いたボルドー出身のフランス人女性作家レティシア・コロンバニさんの新刊で、読みすすめていたら、「三つ編み」に登場したインド人少女も描かれていて、かすかながら続編なのだと知りました。
物語の舞台は南インド タミル・ナードゥ州のマハーバリプラムの村。
コロナ前の最後のインド旅で訪れたあたりなので親近感とともに、主人公の語りに「観光やヨガで訪れる観光客は多くても、インドの児童労働市場の実態、児童婚、根強く残る差別などの問題を考える人は意外と少ない」といったくだりがあって、、、、刺さりました。
マハーバリプラムといえば 落ちそうで落ちないクリシュナのバターボール |
「三つ編み」は、年齢も国籍(イタリア・カナダ・インド)も異なる3人の女性の人生が、あたかも三つ編みのように編みこまれながら、実際に〈髪〉も国境を超え、人生を切り開いていく物語。
続く「あなたの教室」は、訳あってフランスからマハーバティムプラムにやってきた元女性教師が事件に遭い、命を救ってくれた最下層の少女たち(内一人が三つ編みに登場する少女)と交流する中で、困難を乗り越えて学校を作っていくというストーリー。
「1人の子ども、1人の教師、1冊の本、そして1本のペン、それで世界を変えられる。」
16歳だったマララ・ユスフザイさんが国連スピーチで訴えたように
〈教育を受けること〉〈学ぶこと〉は〈貧困〉を脱する大切な要素のひとつなのだと、この本を通して著者も強く伝えたいのだそう。
西洋的な文化や進んだ教育が絶体的であるとは思わないけれど、負の風習が続く事のマイナス面はやっぱり否めない。
サッカーワールドカップでも、イランのスカーフを正しく着用しなかった女性が亡くなったことを発端にした抗議活動が続いていると報道されているように、対岸の火事のように眺めるだけではもう済まされないときが来ているのだと。
そんなことをつらつらと考えながらの図書館さんぽのオフ日を過ごしました。
12月も平常運転、ヨガの練習でStay healthyにいきましょう♪