出羽三山めぐりの旅①


山形県の出羽三山をめぐる旅をしてきました。

言い出しっぺは父。
〈戸隠五社めぐり〉で味をしめ(笑)、元気に歩けるうちに新聞に載っていた〈出羽三山めぐり〉もしてみたいと。

先日の万博のときにも感じましたが、父の元気のもとは〈好奇心〉なんだなと。


わたしは、いったいそこにどうやって行くのか皆目見当がつかず、路線検索してみたら、東海道新幹線→上越新幹線→特急いなほを乗り継いで6時間とか。
近場の海外に行ける移動時間じゃん(-_-;)

観光案内所から資料も取り寄せて調べてみると、、、

〈羽黒山〉は階段を2446段登らなければならないし(ビルだと66階相当)
〈月山〉は山頂までは行かないとしても、八合目の弥陀ヶ原のお花畑は木道を一周約3km
〈湯殿山〉はアスファルト道路を往復約1時間

大きな荷物をもっての駅での電車の乗り換えもまぁまぁ体力がいることを想定すると、アラウンド80歳の両親が元気に歩けるうちに一日でも早く~と思ったのだけれど、東北の雪深いこの地域を巡れる期間はとても限られていて、月山にいたっては7月~9月半ばのたった2か月半ほどしか入山できない。

さらにお目当ての〈国宝五重塔〉が20年ぶりの修復作業で2年ほど拝観ができなくなり、意を決して計画した昨年は大雨で電車が不通に。
呼ばれてないとはこのこと・・・・(-_-;)

庄内平野と奥には雪渓を残す月山

そんなこんなで3年越しの計画をようやく実現。

羽黒山は現世の幸せを祈る山(現在)
月山は死後の安楽と往生を祈る山(過去)
湯殿山は生まれかわりを祈る山(未来)

とされ出羽三山への参拝は、伊勢参りや熊野参りと同様に、
江戸時代には庶民の間で現在・過去・未来を巡る〈生まれかわりの旅〉として広がったそう。

わたしたちも一日にひと山ずつ参拝することにしました。



まず一つ目は〈羽黒山〉
石段詣とも言われ、山頂の羽黒神社まで約2kmにわたって樹齢500年以上の杉並木に囲まれた石段を歩きます。

バスでも行けますが、これは絶対に歩いたほうがいい。
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにも認定されていて、静けさと、杉の香りに包まれ、とっても神秘的。



歩き始めてすぐに、柿葺の屋根、釘なしに建つ東北最古の五重塔。
そうそう、このお姿が見たかったのです。

鬱蒼とした森の中に、決してきらびやかではないのですか、その渋い存在感がより重厚で素敵でした。

そこから一ノ坂、二ノ坂、三ノ坂となかなかの石段急坂を経てようやく山頂の羽黒神社⛩️へ。


夏越しの祓なのか、明日の月山開山前の祈りなのか、山頂にはたくさんの山伏さん、神職の方がいて、護摩焚きをちょうどされていました。

この日は宿坊に寄せていただいたのですが、
〈山伏〉でもあるご主人が朝の礼拝のあと話してくれた〈山岳信仰〉のことが印象的でした。

日本は国土の7割以上を山地が占める「山の国」。 


山はあるときは水源地として、あるときは動植物の採取地として、またあるときは目印として、山は私たちのくらしを太古の昔から現在まで支えている。 

また、ときに噴火や山崩れによって、山は私たちのくらしを脅かす。 


そんな山に、私たちは神仏の存在を重ね合わせ、そして祈りを捧げ続けている。

〈山伏〉とは字のごとく、山に伏す人、山とともに暮らし、祈り、人々と山をつなぐ役割なのだと。




雪深いこの地域だからこそ、食材の保存技術がいまもちゃんと受け継がれていて、塩蔵した食材の塩抜きや、乾物の水戻しなど多くの手間暇をかけた精進料理をいただくことができます。

長くなるので、月山と湯殿山はまた今度。

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