ザリガニの鳴くところ(著:ディーリア・オーエンズ)

2週に一度、図書館で小説やエッセイ、雑誌も織り交ぜて10冊ほど借りてくるのがわたしの楽しみのひとつなのですが、多忙を極めた3月後半に借りた本は、ほとんど読めず”積読状態”でした。

連日の引越作業で、移動中、電車で読もうとしても気づくとうたた寝してるし、夜は20時過ぎたら意識朦朧としてきて読書どころではない、寄る年波には抗えません(笑)。

脳の疲労は、興奮を鎮めたり、違う世界に連れて行ってくれる読書や映画が効きますが、身体の疲れは眠るコトがいちばんなんですね。

そんなわけで、静かな日常が戻りつつある4月になってから、たまった本を猛烈に消化中。

その中の一冊が「ザリガニの鳴くところ」でした。

いつのタイミングでこの本を予約したのかも、何がきっかけでこの本を読みたいと思ったのかも思い出せず、Google先生に書評を聞くと、ものすごく高評価。

しかし、次の予約がついているので延長できない。
まぁまぁのボリュームで、返却日も迫り、もう読まずに返すしかないかと思ったのですが、読み始めたら、惹きつけられて止まらず、一晩で読了。
ああ、読んでおいてヨカッタという満足感。

舞台は1950年代~70年代のアメリカ。
貧しい白人一家に生まれた少女が、わずか6歳の頃から母や兄弟に次々に見捨てられ、電気も水道もない、カビや虫がわく湿地の小屋でひとりで生きていくことを強いられるという物語。

ジャンルは?と問われると、変死体発見からはじまる推理小説でもあり、差別に苦しむ少女や人種間の問題を顕わにする社会派小説でもあり、淡い恋心から痛手を味わう恋愛小説でもあり、作者が動物学者であることから、野生の動植物たちのうごめきやにおい、色や鳴き声、美しさと残忍さといった生態まで緻密な描写が素晴らしい自然小説でもあるという縦横無尽な、不思議な構成。
ミステリーが根底にあるので最後まで気が抜けません。

わたしが強く感じたのは、社会に対して理不尽さや生きづらさを感じることは、大なり小なり誰にでもあるけれど、たぶん、きっと、少女カイアほどではないはずというコト。

そんな凄まじい生い立ちの少女カイアが、
孤独や寂しさ、空腹にただ屈するのではなく、毎日をただただ必死に生き、
友人から読み書きを教えてもらい、独学で学んだ言葉の力を糧にカイアらしく成長していくのですが、
恐いくらいの荒々しい野生の奥深い湿地帯の、生物たちが自然のままの姿で生きる場所で、
カイアが水辺にたたずみ、ザリガニの鳴き声を聴き、星空に癒される姿に、
なにか、背中を押されるような、人生捨てたもんじゃないよね!という強い気持ちになるのです。

生物の生存本能や強靭さを再確認できるコトが今、求められているのかもしれませんね。

二か月ぶりに山歩き再開!
阿知ケ谷アルプス@島田市

新年度に切り替わった4月、まだまだ多忙を極めている方も多いかもしれません。
疲労の解消には質の良い睡眠がいちばんですが、クタクタに疲れているのにぐっすり眠れないとしたら、それは脳だけが疲労興奮していて、身体を思ったより動かしていないからかもしれません。

読書で脳内リフレッシュ、ヨガや山歩きで身体をしっかり動かして、ぐっすり眠れますように。
レッスンご予約お待ちしております。

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