『枝元なほみのめし炊き日記 人生なんとかなるレシピ』

雨が降る日が増えてくるこの時期は、いつもよりちょっと本を読む時間が増えるので、これはこれでいいなぁと思う
・・・ことにしている(笑)。

低山ハイカーあるあるだと思うんですが、真夏になる前のこの新緑のさわやかな季節は貴重で、オフの日に少しの晴れ間に出会えたら、さささっと山に分け入りたいと思っちゃうから。

晴れ間を見つけて超ご近所登山@潮山
藤枝バイパスの広幡IC近く潮トンネルの上の山

すきま時間に読むのが性に合っているんですね、きっと。

車の中にはいつも何冊か本を積んでおいて、息子たちの塾や部活の送り迎えの待ち時間は貴重なリラックス読書タイムだったし、電車通勤していたころは、化粧ポーチは忘れても本だけは必ず鞄に入れていたものです。
満員電車が苦手で気を散らすもの、集中できるものが必要だったんです(-_-;)。


そんな最近の雨降り休日のすきま時間に読んだ図書館本ですが、
『枝元なほみのめし炊き日記 人生なんとかなるレシピ』は、そのとき並行して読んでいた『長寿期リスク「元気高齢者」の未来』(著:春日キスヨ)とリンクする内容でいろいろと考えさせられました。

枝元さんのエッセイにあるこんなくだり

同年代の女たちが子育てを卒業して〈自分のためのご飯を作る〉状況に出会った訳だ

お疲れ様です

 もう、家族の健康も時間のやりくりも考えなくっていいんですよ 

長く会社勤めをしてきた人の定年というのも、こんな感じだろうか

「枝元なほみのめし炊き日記」

〈自分のために作るということ〉より

みんなを育ててきて育てられてもきて、それを卒業して、自分のために生きる

自分を養うために料理を作る、素材と向き合ったり、いろいろ思い出したりして、ちょっと笑ったりうるっとしたり

 一人ずつの女たちよ〈男たちよ〉、お疲れ様、自分を大事に、自分を全うする気持ちとともに楽しんで参りましょ!

「枝元なほみのめし炊き日記」

〈自分のために作るということ〉より

炊事洗濯家事育児、育児はしたことがないけれど私、どれもきっと上手で大好きな仕事だという自負がある

でもそれを女の仕事だ、家の中の仕事だ、と押しつけられるのはまっぴらごめん、と思うのだ 

(中略)

炊事洗濯家事育児が、人間が暮らしていく上での「基本のキ」なのだ、ということを肝に銘じて大事にしたい

 料理も掃除も好きで楽しんでやっていきたい

 「枝元なほみのめし炊き日記」

若者よ、めしを炊け!〉より


かたや、春日さんのルポには、女性はいったいいくつまで”誰かのため”に食事を作り続けるのか、誰かのための家事役割からの引退はないのかというくだりがあり、世代がまさに今ここ!という状況なのでどうしたらよいのか答えはでないままですが、自分の未来も含め考えの整理整頓には役立ちました。

「運動」ができる健康な「身体」を保つには、「栄養」を考え食事をつくり、汗を流すための風呂を沸かし、汚れた服を洗濯する人がいなければならない

「長寿期リスク「元気高齢者」の未来」より

もちろん生きてきた時代背景もあるかもしれない。
でも、とにもかくにも、人生は小さな日常のくりかえしなのだから、自分のことは自分でできた方がいいし、より健康に、そして機嫌よく生きれるのではないかと思うのです。
最終的には誰もが難しくはなるのは”頭では”わかっているけれど・・・。

介護予防に励み、寿命が延びたとしても、加齢による老いの衰えが後ろ倒しになるだけで、長生きすればするほど、 誰でも最後は何らかの支えが必要になる

 「ピンピンコロロリ」であの世に逝ける人は少なく、「百まで元気」な人は「宝くじに当たるように稀」で、人は加齢とともに、心身ともに衰える。 それは動かしがたい事実である

「長寿期リスク「元気高齢者」の未来」より


雨上がりの箱根旧街道歩き
古道歩きは山歩きとはまた違った楽しさ

通勤電車でヘビロテで読んでいたお気に入りの本

どちらももう四半世紀以上前の本ですが、今読んでもウキっとして、そうだやってみよう、作ってみよう、食べてみようと思うヒントがたくさん。
読んだときの自分のコンディションや環境によってもヒットするトピックは違うし、きっと暮らしの基本はコツコツと地味で、いつの時代も変わらぬものでもあるから。

フランス語には” Art de Vivre” (Art:芸術・美、Vivre:生きる・人生・暮らし)
 というフレーズがあって、フランス文化の根幹をなす考えでもある言葉のひとつ。

ともすれば平凡で代わり映えもしない日々の繰り返しに埋没してしまうところを、いかに生気に溢れて、楽しみや喜びを追求する能動的な人生に転換するか、そのための技術や方法といった意味になるのかな、たぶん。
素敵な考え方ですよね。

日本を愛したフランス人の目線、フランスを愛した日本人の目線から、それぞれの国の豊かな文化のいいとこどりのようなアイデアがいっぱいです。

デンマークの”ヒュッゲ”や、もしかしたら日本の”粋”や”詫び寂び”にも、通じるところがあるかもしれません。

私たちが健康でいるには、病院に自分を委ねるよりも、健康に育ったものを食べて健康な環境で暮らすことのほうが大切だろう

無理がないこと、ストレスがないこと、気持ちいいと思って暮らしていくことは、きっとそんな難しいことじゃない

「枝元なほみのめし炊き日記」

〈体と心はくっついている〉より

それほどまでに私たちに時間がない、ということがまず困ったことかもしれない

「枝元なほみのめし炊き日記」

〈やっぱ野菜だ〉より

とにもかくにも枝元さんのあたたかく、でも力強い言葉の数々は、子どもでも、大人でも、男でも、女でも、家族があろうと、なかろうと、今を生きる人たちに「書き残しておかなければ」「伝えなければ」という決意が端々に感じられる一冊でした。

各話に出てくるお料理のレシピも作ってみたくなる、食べたくなるものばかりで、お腹の中からあったか~くなる感じ。


機嫌よく暮らすには、まずは健やかな体づくりから。
6月もご予約お待ちしております。

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