スマホ脳(著:アンデシュ・ハンセン 訳:久山葉子)

そろそろ学校は春休み、進級や進学でスマホデビューするお子さんが多い時期ですね。

「スマホ脳」、少し前に話題になった本なので、お読みになった方も多いかもしれません。

大人である私たちでさえも、ちょっとしたスキマ時間があるとついついスクロールしてしまうスマホやタブレットは最新のドラッグでのようなもので、デジタルのメリーゴーランドにぐるぐる回されてしまうのは、〈脳の仕組み〉からしたら、とても単純で、簡単なことなのだと、著者スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセンは言います。

でも、子どもは欲しがるし、今の時代、持たせないわけにもいかないし・・・・とモヤっとしたり、大人である自分自身のスマホとの付き合い方にも何かスッキリしないものを感じているようだったら、今すぐにでも実践できるアドバイスが満載のこの本は、考えの整頓になるかもしれません。



今や、1日に平均で4時間、若者の2割は7時間も使っているというスマホ。

わたしはガラケー愛用者だし(いまだに!?)、iPadだってそんなに触ってないから・・・と思っていたけど、読み進めていると、身に覚えのある行動がでてくる、でてくる。

おまけに、春休みで帰省している19歳次男の生態観察をしてたら、7時間なんて余裕で使ってました、ほんとに・・(-_-;)

マナーモードでバックやポケットにしまってあったとしても、注意を引きつけてしまうものすごい威力があるのは、人間の行動科学や脳の報酬システム(快楽物質ドーパミンを放出する仕組み)を詳しく研究して開発されているからだと書かれていて、なんというものを作り出してくれちゃったんだ!?と少々残念な気持ちに。

睡眠を妨げないようにも、身体を動かすためのツールにも、偽情報を拡散しないようにも、開発できたはずなのに、そうしなった理由・・・、それはお金なんだと。

刺さるのは、その魅力が度を過ぎていて、依存性が高いコトを認識しているシリコンバレーは罪悪感でいっぱい、テクノロジーに精通している人ほど制限が必要だと考えているのだそう。

第7章の「バカになっていく子供たち」冒頭では、スティーブ・ジョブズが〈うちでは、子供たちがデジタル機器を使う時間を制限している〉とあるし、そういえば台湾のデジタル大臣であるオードリー・タンも著書「自由への手紙」で、テクノロジーの奴隷にならないために〈スマホは使わない〉とで公言してました。

ジョギング × 無人販売 = 現代の狩猟採集!?
この出会いはアナログならでは、楽しさ倍増♪

スマホやタブレットがもたらす最大の影響は、〈睡眠〉×〈運動〉×〈他者との関わり〉という精神的な不調から身を守る重要な要素であるこの大切な時間 を奪ってしまうことだと言います。

第4章の「集中力こそ現代社会の貴重品」と第8章「運動というスマートな対抗策」は、よく眠って元気になりたい、集中力を高め、現代のデジタルライフから受ける影響を最小限にとどめたい、そんな人たちへのアドバイスが満載。
今すぐにでもスマホと適切な距離をとり、運動しよう!と誰もが思うのではないかなぁ。

うららかな春、スマホの電源をオフにして、〈ヨガ〉や〈山歩き〉に出かけましょう。
身体は鍛えられ、脳は休まるし、よく眠れるし、集中力マシマシですよ。


巻末には〈デジタル時代のアドバイス〉が掲載されていますので、年度末でお忙しい方は巻末だけでも。

 ◎スマホを寝室に持ち込まない、目覚まし時計を使う
 ◎メッセージなどのプッシュ通知をオフにする
 ◎心拍数をあげる運動をする(週3回45分、できれば息がきれて汗もかくまでの運動)
 ◎友達と会っているときはスマホを少し遠ざけておき、一緒にいる相手に集中する
  (※これはほんの抜粋で、このほかにも様々なアドバイスいっぱいです)

著者が登壇したTEDトークも参考になります。


この本の翻訳者でありスウェーデン在住の久山葉子さんのあとがきには、スウェーデンではこの本が社会現象になるほどで、小学校の入学式の前にこのリンクが保護者全員に送られてきたと記されていました。
日本語字幕もついているので、スマホデビューのお子さんと一緒にご覧になるのもいいかもしれません。
わたしも〈スマホ脳〉の息子にしっかり見せましたが、、、さぁ、効果はいかに!?

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