ときには亀のように甲羅のなかに身を潜めてみる
暑かった夏をちょっとずつ忘れさせてくれる過ごしやすい季節になってきました。
夏に向かって身体が温まりやすく、気分も高揚していく季節とは違い、
心が乱れ、執着や欲望、負の感情に引きずられて揺れ動くときは、ほんの少しのあいだ内側に退いてみる。
静かな場所を見つけて、ただ座り、目を閉じて、鼻先を通る呼吸だけに意識を向けてみる。
そうすることで、亀が甲羅に身をひそめるように、私たちも自分の内側に戻り、そこにある深い智慧に触れて、より良く導かれることができるという教え。
ここからは少しずつ穏やかにすすんでいっていただきたいものですが・・・
期待薄ですかね~(;゚Д゚)
陽が短くなってきて、気温も下がっていくにつれ、なんでしょうか、自分でもアレって?って思うくらい気持ちがモヤっとするというか、やる気がおきないことが多いです。
そして、もうちょっと進むと、あったかい布団から出るのがしんどくなってくるんですよね。
それでも、感情に振り回されないよう、やっとやっとでもなんとか起きたら、マットをしいて、まだ仄暗い外を眺めながら白湯をすすり、しばし坐り、そして立つ。
マットに立ってしまいすれば、自然に身体は動きはじめるから。
寒い季節の練習について意識しておきたいことをふたつほど。
✅寒いときこそ、呼吸を深めて少し音を感じるくらいにしっかりと
身体は本当に不思議で、冷たい日でも自ら熱を生み出し、余分な熱を逃がすことができます。
暖房や厚着ももちろん助けになりますが、実際に身体を「内側から」温めてくれるのは動くこと、動かすことそのものだから。
レッスンのはじめに行う呼吸法〈プラーナヤーマ〉は、自律神経を整える〈アヌローマ・ヴィローマ〉片鼻呼吸を主におこなっていますが、気温が下がっていくこれからは〈カパラバティ〉火の呼吸の出番が多くなります。
前回のブログでお伝えした〈呼吸筋〉をしっかり使うので、身体が芯から温まります。
はじめは難しく感じる方もいらっしゃいますが、サンスクリット語でカパラ=頭蓋骨 バティ=輝かせるという意味のとおり、慣れてくると、身体も気持ちも大掃除されて、リセットされる爽快感を味わえますよ。
レッスン中だけでなく、思いついたら、深く、しっかり息をしてみてくださいね。
スマホのバッテリー心配するよりも、自家発電、自己充電しましょう。
✅寒い時期は特に、背中(腰・肩・首)に注意しましょう
気温が低いと筋肉は熱を生み出そうとして収縮しているうえ、布団の中で丸まって過ごす時間も増えるため、身体が十分に準備できていないときに動くと、ケガをしやすくなります。
わたし自身、真夏の練習に比べて、朝いちばん、動き始めは、身体が硬いなと思うことが増えてきました。
長袖や靴下などで重ね着をして練習を始めて、だんだん薄着にしていったり、練習後のシャワーのあとは暖かい服装で朝食を食べるようにしたり。
レッスンでも、シャヴァーサナタイムにブランケットを準備しますが、これからの季節は体温調節のため暖かい羽織りものなどお持ちくださいね。
『バガヴァッド・ギーター』第2章 第58節
ちょうど亀がその手足を甲羅の中に引き込むように
人がその感覚器官を感覚の対象から引き戻すことができるとき
その人の智慧は確立されたものである
ご存じのように、ヨガのポーズの名前には、自然界の動植物がひんぱんに登場します。
ヨガの経典で記される〈亀〉の意味することとは、
心が乱れ、執着や欲望、負の感情に引きずられて揺れ動くときは、ほんの少しのあいだ内側に退いてみる。
静かな場所を見つけて、ただ座り、目を閉じて、鼻先を通る呼吸だけに意識を向けてみる。
そうすることで、亀が甲羅に身をひそめるように、私たちも自分の内側に戻り、そこにある深い智慧に触れて、より良く導かれることができるという教え。
感情は世界を楽しむ道具(ヨガ哲学講座より)
物や場所を悪いマナーで扱ったり、自然環境の破壊につながることをしたり、正しい方法ではないやり方で何かを手に入れたり、嘘をついたり、人が不快に思うことをついつい言ってしまったり、そんなときは、心は満たされず、自分に安心して寛ぐことはできませんよね。
以前のブログでも紹介しましたが↑↑
私たちは五感を通して世界を体験しています。
大切なのは、心が五感の奴隷となって、〈好き・嫌い〉〈嬉しい・悲しい〉〈快・不快〉の間を揺れ動き過ぎないようにすることだと〈亀〉をたとえに伝えたいのだと思うのです。
世界があまりに騒がしく、圧倒されそうになるときは、落ち着くまで静かに身をひそめて、安全だと感じたら、ゆっくりと外に出て、また一歩ずつゆっくり歩みをすすめていくのもいいんではないかと。
スプタクルマーサナ(眠っている亀)をするときは、いつも、このお話を教えてくれた先生のことを思い出しています。