マカン・マラン(著:古内一絵)

旅に本は必需品・・とつぶやいたのは3年前のちょうどこの時期でした。
旅の準備はわりと好きなのですが、こうブランクがあくと〈旅力〉の低下にけっこう困惑してます。

そろそろ本格的に準備をしなければならないというのに、パッキングそっちのけで〈本選び〉と自分に言い訳して、気がつけば候補の本を読み耽ること数時間、現実逃避ばかりです。

なんかとてつもなく大切なモノを忘れそう・・・_| ̄|○。

パッキング途中に現実逃避する人(笑)
2019年インド旅最終日@Jaipur

いつものように候補にあげながら、諸事情で読んじゃった本がこちら。


古内一絵さんの作品〈カフェ マカン・マラン〉の4冊シリーズは、装画を見ただけで美味しそう!と手に取り、文庫本がない(=かさばるから旅には持っていけない!)ことを確認するともうぐんぐん物語の中へ。

「孤独のグルメ」が流行るくらいだから、きっと多くの人がそうなんだと思いますが、映画やドラマ、物語、漫画でも、息子に言わせると〈飯テロ系!?〉⇒“食べ物“にまつわるものがわたしも大好きです。

4巻目 最後の物語がもったいなくて読めない・・

物語の舞台は都会の片隅の一軒家を改装した夜食カフェ〈マカン・マラン〉。
ドラァグクイーンのシャールこと御厨清純が切り盛りしています。

1冊に4話の短編で、各話の登場人物たちは、リストラにあったり、仕事に生き甲斐を見出せなかったり、人間関係に疲れたり、夢がかなわなかったり、結婚や離婚、子育てに悩んだりと、生きていたら誰もが少なからず経験するのでは・・と思われるストレスを抱えて、導かれるように〈マカン・マラン〉の扉をあけます。

悩み疲れ、冷え切ってしまった心を、野菜たっぷりの身体に優しい賄い料理でほっこり温め、解きほぐし、ポツリポツリと話しはじめる人たちに、シャールは自らの経験を交えながら、共感したり、違った視点から物事を見る大切さを伝えたり、元気づけ、前を少しでも向けるようそっと背中を押すのです。

こんな居心地が良くって、悩みや体質にあわせてブレンドしたハーブティやお料理、デザートを出してくれるカフェが近所にあったらいいのに。

ドラァグクイーンって生で見たことないけど、落ち込んだときはシャールに会って人生相談してみたい。
実写版にするなら、俳優さんは誰が良いかなぁな~んて妄想しながら読むのも楽しいかも。

結局4巻すべて読みきってしまい、最終章にこのくだりを発見。

『ヨガも瞑想もマクロビオティックも、現在シャールが健康のために実践しているすべては、ニューヨークのドラァグクイーンたちから教えてもらったものばかりだ。』

シャールはやっぱりヨギーだった!読んでてそんな気がしたんだよね。
著者の古内さんもヨガされてるのかな。

本の虫さんたち、未読でしたらぜひ。

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